このコーナーでは、妊娠や出産についての疑問や不安を解消すべく、よく頂く質問を助産師がまとめ、それに答える形でわかりやすく解説し、お母さんと赤ちゃんが春を快適に過ごしていただける様、さまざまな情報をお伝えできればと思っています。
第3回目は春の育児で、季節の変わり目に気をつけたい体調管理や、春ならではの過ごし方のポイントをお伝えします。
それでは早速始めてまいりましょう。

先生、春の育児について妊婦さんからよく質問をいただくので、いくつか教えてください。
1. 春の育児はなぜ気をつける必要がある?
先生、春の育児って、なぜ特に気をつける必要があるんでしょうか?
春は一日の寒暖差が大きくて、赤ちゃんにとっては体温調節が難しい季節なんだ。朝は冷えていたのに昼間は暑い、なんて日も多いよね。
たしかに、日によっても気温の差がありますよね。赤ちゃんは体温調節がまだ上手じゃないから、影響を受けやすいですね。
そうなんだよ。服装を重ね着で調節したり、ブランケットを使ったりして、こまめに対応するのがポイントだね。それと、春は生活環境がガラッと変わる時期でもあるから、赤ちゃんもママも無理なく過ごすことが大切なんだ。
2. 春に気をつけたい赤ちゃんの健康管理
春になると、花粉や感染症も増えてきますよね。赤ちゃんへの影響はどうですか?
花粉は肌に刺激を与えることがあるし、春はウイルス性胃腸炎やRSウイルスも流行しやすいから注意が必要なんだ。お出かけ後には顔や手を清潔に保つと安心だよ。
紫外線も強くなりますよね。まだ肌が敏感な赤ちゃんは心配です。
うん、春の紫外線は意外と強いから、午前中の短時間外出がベスト。ベビーカーには日よけをつけて、赤ちゃんの肌を守ってあげようね。
なるほど。マスクができない赤ちゃんだからこそ、周囲の大人の体調管理も大事ですね。
その通り。手洗いや部屋の換気、家族の体調管理も含めて、予防を徹底するといいよ。
3. 春の育児におけるお出かけ準備
お花見や公園デビューの時期を考えているママも多いです。外出はいつ頃からが良いですか?
赤ちゃんの体調が安定していれば、生後3ヶ月ごろから短時間の外出はOK。日差しが穏やかな午前中がおすすめだね。
ベビーカーと抱っこひもの使い分けも悩みますよね。
それぞれのシーンに合わせて使い分けるのがポイント。段差や混雑した場所では抱っこひもが便利だし、長時間ならベビーカーの方が楽。赤ちゃんの様子を見ながら選んでね。
4. 春の育児とママの心と体のケア
春は育児環境も変わりやすい季節なので、ママ自身がストレスを感じやすいですよね。
うん、季節の変わり目は体調も気持ちも揺れやすくなるから、無理しないのが一番だよ。“完璧にやろう”と思わずに、“今日はここまででいい”って自分をゆるめてあげると楽になるよ
赤ちゃんのお世話で手一杯だと、自分のことを後回しにしがちですよね。
そうそう。だからこそ、1日5分でもホッとする時間を作ってほしいな。お茶を飲んだり、好きな音楽を聴いたり、ほんのちょっとの“ゆとり”が心の支えになるからね。
家族やパートナーと協力し合って、育児の負担を減らせると良いですね。
ほんとに。周囲のサポートを頼ることも、育児を続けるうえでとても大切なことなんだよ。
5. まとめ:春の育児は焦らず、ひとつずつ
今日のお話を聞いて、春の育児には“ちょっとした気配り”が大切なんだと感じました。
その通り。春の育児は“がんばりすぎず、少しずつ慣れていく”ことがいちばん大切。気温や生活リズムの変化に合わせて、ママも赤ちゃんもゆっくり過ごしていこうね。
困ったときは、医療機関や相談窓口に頼ることも大切ですね。
うん。ひとりで抱えこまないで、いつでも気軽に相談してほしい。春を笑顔で過ごすために、できるサポートをしていきたいね。
それでは、春の育児について、具体的に詳しく見ていきましょう。
Contents
1. 春の育児はなぜ気をつける必要がある?

1.1 春は赤ちゃんにとって環境の変化が多い季節
春は気候が穏やかで過ごしやすい一方、赤ちゃんにとっては刺激の多い季節です。日中は暖かくても朝晩は冷え込み、気温差が大きくなりやすい時期。こうした変化は、体温調整がまだ未熟な赤ちゃんにとっては大きな負担になります。
また、春から保育園生活がスタートするご家庭も多く、生活環境やリズムが変わるタイミングでもあります。急に外出が増えたり、知らない人と過ごす時間が増えたりと、心も体もストレスを感じやすい時期です。
こうした要因が重なることで、機嫌が悪くなったり、夜泣きが増えたりすることもありますが、それは育児の失敗ではなく、春という季節特有の“ゆらぎ”として受け止めてあげましょう。
1.2 体温調節が苦手な赤ちゃんのためにできること
春は朝晩と日中の寒暖差があるため、赤ちゃんの服装選びに悩むママも多いです。基本は「薄手の重ね着で調整」がポイント。暑くなったらすぐに脱がせられるように、肌着+長袖+カーディガンなどが便利です。
赤ちゃんの体温チェックには、背中を触ってみるのがコツ。汗ばんでいたら着せすぎ、冷えていたらもう1枚必要なサインです。
よくある失敗としては次の3つ:
- 日中の陽気に合わせて薄着にしすぎる
- 心配で厚着にしすぎ、汗をかいて不快にさせる
- 頭や足元の保温を忘れて冷えてしまう
「気温差に気づいたときにすぐ調整できるよう準備しておく」ことが、春の育児を快適にする大事なポイントです。
2. 春に気をつけたい赤ちゃんの健康管理

2.1 春特有の感染症や花粉症
春は気候が穏やかでお出かけしやすい反面、感染症やアレルギーのリスクが高まる季節でもあります。特に赤ちゃんは免疫力がまだ弱く、大人よりも影響を受けやすいので注意が必要です。
代表的な春の感染症には、ウイルス性胃腸炎・RSウイルス・咽頭結膜熱(プール熱)などがあります。これらは飛沫や接触を通じて感染するため、外出後の手洗いやおもちゃの消毒をこまめに行うのが基本です。
また、花粉症は赤ちゃんには無縁と思われがちですが、肌が敏感な子は花粉が原因で湿疹や目のかゆみを訴えることもあります。散歩のあとには、顔や手をやさしく拭き取るなど、「花粉を落とすケア」を意識してみてください。
2.2 衣類選びと室温調整のポイント
春は一日の中でも気温が大きく変化するため、衣類や室温の調節が育児のカギになります。赤ちゃんが快適に過ごせるように、温度の変化に柔軟に対応できるようにしておきましょう。
服装は「薄手の重ね着が基本」。脱ぎ着しやすいカーディガンやベスト、レッグウォーマーがあると便利です。暖房や冷房を使うほどではない室温でも、汗ばんでいないか、冷えていないかをこまめにチェックしてあげましょう。
室温は20〜23℃前後、湿度は50〜60%が目安です。換気をしつつ、加湿器やサーキュレーターで空気を快適に保つと、赤ちゃんの肌トラブルや風邪予防にもつながります。
2.3 外出時の紫外線と乾燥対策
春の陽射しはやわらかそうに見えて、実は紫外線量が急激に増える時期です。赤ちゃんの肌はとても薄くデリケートなため、しっかり守ってあげたいですね。
外出の際は、日よけのあるベビーカーを使う、帽子をかぶせる、UVカットのブランケットをかけるなどして直射日光を防ぎましょう。乳児には強い日焼け止めは使えないため、できるだけ“物理的にガード”する工夫があると安心です。
さらに、春は風が強く、空気が乾燥しやすい日もあります。唇やほっぺがカサついていたら、ベビー用の保湿クリームでこまめにケアしましょう。外から帰った後は、水分補給も忘れずに。
赤ちゃんの肌と呼吸器は春の環境に敏感です。ちょっとした気配りで、トラブルを未然に防ぐことができます。
3. 春の育児におけるお出かけ準備

3.1 昼夜の寒暖差にあわせた生活リズム
春は朝晩と日中の気温差が大きく、赤ちゃんの体調や睡眠リズムにも影響を与えやすい季節です。特に昼間はポカポカ陽気なのに、夕方以降は急に冷え込む…なんて日も多いですよね。
そんな時期こそ、決まった時間に起きて、決まった時間に日光を浴びることが大切です。朝の光を浴びると体内時計がリセットされて、昼夜の区別がつきやすくなります。さらに、朝寝・昼寝・夕寝のリズムも安定しやすくなりますよ。
夜の冷え込みに備えては、寝室の温度管理がポイント。エアコンや加湿器を上手に使い、寒すぎないよう調整しましょう。おやすみ用のスリーパーや腹巻きも、赤ちゃんの体を冷えから守ってくれます。
3.2 お花見・公園デビューはいつから?
「そろそろ赤ちゃんを外に連れ出したいけど、いつ頃からOK?」という質問もよくあります。一般的には生後3ヶ月を過ぎ、首がすわってからが安心と言われていますが、大事なのは赤ちゃんの体調が安定しているかどうかです。
最初は15〜30分程度の短い散歩から始めましょう。外気に触れることで気分転換になり、赤ちゃんもぐっすり眠ってくれることが多いです。日差しが穏やかで、気温が安定している午前10時〜11時頃がベストタイムです。
お花見に行く場合は、人混みや長時間の滞在を避けるのが鉄則。赤ちゃんが疲れないよう、「見るだけ」「写真を撮るだけ」くらいの気持ちで十分です。
3.3 ベビーカー・抱っこ紐の使い分けと注意点
春のお出かけでは、「ベビーカーと抱っこ紐、どっちが良いの?」と迷うこともありますよね。それぞれにメリットがあるので、状況に応じて使い分けるのが正解です。
たとえば…
- ベビーカーが便利なとき
→ 長時間の外出や、荷物が多いとき、赤ちゃんが寝てしまったときなど - 抱っこ紐が便利なとき
→ 公園の階段や坂道、人が多い場所、短時間のお買い物など
ただし、注意点もあります。ベビーカーは日よけを忘れずに。春は日差しが強いため、UVカットカバーや帽子も活用しましょう。抱っこ紐の場合は、赤ちゃんと密着するため暑くなりすぎないよう、通気性の良いタイプを選ぶのがおすすめです。
「今日はどこへ行く?どれくらいの時間?」という視点で、ベビーカーと抱っこ紐を使い分けると、お出かけがもっと快適になりますよ。
4. 春の育児とママの心と体のケア
4.1 環境の変化によるストレスとその対処法
春は保育園のスタートや職場復帰など、生活スタイルが大きく変わる季節です。赤ちゃんの成長に合わせて育児の内容も変わっていくなかで、ママ自身の気持ちがついていかず、なんとなく疲れを感じてしまうこともありますよね。
そんなときは、「うまくできない」と自分を責めずに、“できたこと”を一つでも見つける習慣をつけてみてください。たとえば「今日はゆっくりお茶を飲めた」「赤ちゃんがよく笑ってくれた」など、小さな達成感を意識することで、心が少しずつ軽くなります。
また、数分でもいいので、好きな香りをかぐ、音楽を聴く、軽く体を伸ばすなど、「自分のための時間」をあきらめずに持つこともリフレッシュに効果的です。
4.2 家族や周囲との連携で育児をラクにする方法
ママ一人でがんばりすぎないためには、家族との連携や周囲の協力が欠かせません。特に春は変化が多く、育児の負担が増えやすい時期なので、サポート体制を意識的につくっておきたいですね。
「忙しそうだから頼みにくい」と遠慮するのではなく、「○○をお願いできると助かる」と具体的に伝えることで、相手も動きやすくなります。パートナーには家事やお風呂、寝かしつけなどを少しずつ共有してもらうのがおすすめです。
また、祖父母や地域の子育て支援も頼ってOK。短時間でも見てもらえると、ママ自身が深呼吸できる時間が生まれます。無理せず、周囲と協力しながら育児を進めていきましょう。
5. まとめ:春の育児は焦らずひとつずつ
5.1 気を張りすぎず季節の変化を楽しもう
春は生活環境が変わりやすく、育児も何かとバタバタしがちですよね。でも、赤ちゃんもママも、毎日を少しずつ過ごしていけば十分です。
完璧を目指すよりも、「今日はよく笑ってくれたな」「気持ちいい日差しを浴びられたな」そんな小さな喜びを大切にするだけで、心がぐっと軽くなります。
無理をせず、春のやさしい空気を感じながら、赤ちゃんとの時間をゆったり過ごしていきましょう。
5.2 困ったときは専門家に頼るのが大切
育児をしていると、「これって普通?」「相談してもいいのかな?」と迷うこともありますよね。そんなときは、一人で悩まずに専門家を頼ることが大切です。
小児科や助産師、保健センターなど、相談できる場所はたくさんあります。話すだけで心がラクになることもありますよ。
“頼る育児”は、決して甘えではありません。安心して育児を続けるための、大切な選択です。
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